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損益勘定・当期純利益・当期純損失
決算手続に関する最後の最後に、これまで一度も触れなかった重要な仕訳を一つ、ご紹介します。
落ち着いて丁寧に考えてみてください。
全ての勘定科目のうち、資産・負債・純資産の科目については、期末の残高はB/Sに表現されるとともに「次期繰越」とし、次の会計期間の期首に「前期繰越」として勘定記入の最初に記載されます。
(勘定科目の書き方について)
では費用・収益科目は?
以前にも述べましたように、費用と収益科目の勘定口座には「次期繰越」がありません。
期末のP/Lに表現されますが、それだけで終わりでしょうか?
「超」入門編(「なぜ費用は借方か」)で、費用と収益の意味を考えたときに、費用は貸方から資産が失われたのに対価として借方に別の資産が得られなかった(資産減少のアト)という意味、収益は逆に、借方に資産が得られたのに、対価として貸方で資産を失わなかった(資産増加のアト)と解釈しました。
つまり、1会計期間の営業活動の結果、決算処理してみて・・・
純利益がでていれば、それは資産が期首よりも増加した
逆に純損失となってしまったとしたら、それは資産が期首よりも減少した
ということです。
ところで、これをB/Sで考えると、当然「借方=貸方」ですから、
資産が増加すれば負債+純資産も同額増加しているはず
逆に資産が減少すれば、負債+純資産も同額減少しているはず
です。
このとき、負債は増えも減りもしていませんから、純資産がその分増減することになります。
具体的には、当期純利益が出れば、同額資本金が増加したことになりますし、逆に当期純損失であれば、資本金が同額減少したことになります。
以上のことについての会計処理としては、全ての費用科目、収益科目の残高を「損益」という勘定に振り替えます。
これを「損益振替」といいます。
ちょうど、資産や負債、純資産の残高を「次期繰越」として、勘定口座の借方合計=貸方合計にするのと同じように、費用・収益科目では、残高を「損益」勘定に振り替えて、勘定口座の貸借をバランスさせます。
<資産科目勘定口座の例>
<費用科目勘定口座の例>
ですから、費用科目の損益勘定への振替仕訳は、借方残高を貸方で払い出して損益勘定の借方に振り替えるので、
(借)損 益 X,XXX
/(貸)(費用科目)X,XXX
逆に収益科目の損益勘定への振替仕訳は、貸方残高を借方で払い出して損益勘定の貸方に振り替えるので
(借)(収益科目)X,XXX
/(貸)損 益 X,XXX
という仕訳になります。
こうして損益勘定に集約された各費用科目、収益科目の貸借差額は、最後に資本金勘定に振り替えられます。
これを「資本振替」といいます。
(例1)
(例2)
さて、上記の損益勘定のイメージで、(例1)(例2)どちらが当期純利益でどちらが当期純損失だかわかりますか?
当然、(例1)は費用<収益ですから、当期純利益ですね。
この場合、損益勘定の貸方残の方が多いわけですから、差額を借方から資本金勘定に振り替えることで、損益勘定の貸借がバランスします。
よってこの場合の仕訳は
(借)損 益 X,XXX
/(貸)資本金 X,XXX
となります。
貸方科目の資本金のさらに貸方に計上しているので、資本金が増加しています。
逆に(例2)は費用>収益ですから、当期純損失です。
この場合、損益勘定の借方残の方が多いので、差額を貸方から資本金勘定に振り替えることで、バランスします。
よってこの場合の仕訳は
(借)資本金 X,XXX
/(貸)損 益 X,XXX
となります。
貸方科目の資本金勘定について、借方に仕訳しているので、資本金が減少しています。
ここは、仕訳だけに頼ると純利益なのか純損失なのかよくわからなくなるので、勘定口座のイメージも描きながら考えてみてください。
解ける!簿記 3級 本試験レベル問題
【問題】
次の取引を仕訳せよ。
損益勘定の記録によると当期の収益総額は2,300,000で費用総額2,800,000であった。
この差額を資本金勘定へ振り替える。
【THINKING SPACE】
【解答】
(借)資本金 500,000
/(貸)損 益 500,000
【合格直結の思考】
費用>収益なので、
損益勘定の貸借を一致させるために、貸借差額500,000を貸方に計上し、資本金勘定は借方(=減少)