主要簿と補助簿
くどいようですが、複式簿記の流れ(簿記一巡の流れ)は、
1.取引
↓
2.仕訳
↓
3.勘定記入
↓
4.財務諸表作成
でした。
このとき、用いる帳簿は、
2.仕訳には「仕訳帳」
3.勘定記入は「総勘定元帳」
4.財務諸表が「貸借対照表」や「損益計算書」など
でした。
確かに、財務諸表を作るという目標のためだけであれば、仕訳帳と総勘定元帳があればよいのですが、それだけだと、実際の商売の場面では情報が足りずに不便です。
例えば、いつが期日のどの得意先からの売掛金がまだで、どの仕入先に対する買掛金がいつまでにいくら残っている、といった個別の相手先ごとの明細がさっぱりわかりません(なにせ、仕訳帳も総勘定元帳も、日付、科目と金額だけですから)。
これでは、実際の商売では困りますから、仕訳帳や総勘定元帳とは別に、相手先や期日などの明細を管理するため別帳簿をつけます。
これを「補助簿」といいます。
補助簿に対し、仕訳帳や総勘定元帳は「主要簿」といいます。
補助元帳と補助記入帳
補助簿はさらに、大きく分けて
- 補助元帳
- 補助記入帳
の2グループに大別できます。
補助元帳
補助元帳には、売掛金元帳、買掛金元帳、商品有高帳、固定資産台帳があります。
- 売掛金元帳は、売掛金勘定の得意先別の明細であって、すべての得意先の売掛金残高の合計が、売掛金勘定と同じになります。(→売掛金元帳の講へ)
- 買掛金元帳は、買掛金勘定の仕入先別の明細であって、すべての仕入先の買掛金残高の合計が、買掛金勘定と同じになります。
- 商品有高帳は、商品勘定の商品別の明細であって、すべての商品の合計が、商品勘定と同じになります。(→商品有高帳の講へ)
- 固定資産台帳は、建物や備品、車両の各勘定に属する個別の資産の明細であって、例えば、備品に備品A、備品B、備品Cがあるならば、これらの合計が備品勘定と同じになります。(→固定資産台帳の講へ)
補助記入帳
補助記入帳には、現金出納帳、当座預金出納帳、小口現金出納帳、売上帳、仕入帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳があります。(→補助記入帳の解説の講へ)
- 現金出納帳は、現金の入金・出金とその摘要(使い道や原因など。仕訳の相手科目)について記載します(→現金出納帳の講へ)
- 当座預金出納帳は、当座預金勘定の入金・出金とその摘要(小切手振り出し、入金など)について記載します(→当座預金出納帳の講へ)
- 小口現金出納帳は、小口現金の補給と使用について、補給日や使用日、その使途などの明細とともに記載します(→小口現金出納帳の講へ)
- 売上帳・仕入帳は、売上・仕入の際の商品(価格と数量)及び得意先・仕入先について記載します(→売上帳・仕入帳の講へ)
- 受取手形記入帳・支払手形記入帳は、それぞれの手形の振り出しと満期日、裏書譲渡や割引などのてん末について記載します(→受取手形記入帳・支払手形記入帳の講へ)
以降の講では、それぞれの補助簿について学習していきます。