法人税、住民税及び事業税とは

法人税、住民税及び事業税は、これで一つの勘定科目名です。「法人税、住民税及び事業税」勘定です。略して「法人税等」勘定が使われることもあります。問題文の指示や与えられた選択肢に従ってください。

仕訳を考えるうえで、この「法人税、住民税及び事業税」勘定は、資産・負債・純資産・収益・費用のどのグループに入るでしょうか?

正確には、どれでもありません。「利益のマイナス」という役割をしますが、日商簿記3級の学習上は費用と思って差し支えないです。つまり、通常借方に仕訳される科目になります。その点では「租税公課」と同じですね。

法人税と住民税と事業税、それぞれ違う種類の税金ですが(法人税は国税、住民税と事業税は地方税)、なぜ一括りにされるのでしょうか。それは、いずれも「利益×税率」(正確には課税所得×税率)で計算されるような税金なので、簿記上の勘定科目としては一つにされます。

ということは、利益がわからないと、税額も算出できません。

利益がわかるのは、期末決算を行い、作成された損益計算書から導き出されます。

法人税、住民税及び事業税の仕訳

【例15-5】
期末決算に際し、法人税、住民税及び事業税が¥100,000と計算された。

もし仮に決算日に法人税等を現金で即日納付した場合、その仕訳は

(借)法人税、住民税及び事業税 100,000 (貸)現 金 100,000

となりますが、通常は納期(決算日の2か月後)までに納めますので、決算日時点では「未払法人税等」勘定(負債)で仕訳しておきます。

【仕訳】

(借)法人税、住民税及び事業税 100,000 (貸)未払法人税等 100,000

(注意)「等」をつけるのを忘れないように・・・×「未払法人税」

中間申告・中間納付がある場合

ところで、売上等が一定規模以上の株式会社になると、期中に中間申告をして、半期決算により計算された税額or前回納付額の半額程度の法人税等を納めなければなりません(中間納付)。

【例15-6】
中間申告に際し、法人税、住民税及び事業税の中間納付額が¥40,000と計算され、現金で納付した。

【仕訳】

(借)仮払法人税等 40,000 (貸)現 金 40,000

「仮払消費税」勘定と同様に、後で精算を要する資産として「仮払法人税等」に仕訳します。

ですから、中間申告・中間納付をしている場合は、年度決算時に算出される未払法人税等は、仮払法人税等を引いた残額になります。

【例15-5‘】
期末決算に際し、法人税、住民税及び事業税が¥100,000と計算された。なお、¥40,000については期中に中間申告、中間納付済みであった。

【仕訳】

(借)法人税、住民税及び事業税 100,000 (貸)仮払法人税等 40,000

                        未払法人税等 60,000

【例15-6】で借方に資産として計上した仮払法人税等40,000を、反対の貸方で消去して、残額の60,000が、後で支払うべき未払法人税等(負債)になります。

つまり、中間納付がなければ、未払法人税等は、「法人税、住民税及び事業税」と同額になりますが、中間納付してある場合は、中間納付額(=仮払法人税等)を差し引いた金額が未払法人税等になります。

【例15-7】
確定申告に際し、【例15-5‘】で計算された税額を現金で納付した。

【仕訳】

(借)未払法人税等 60,000 (貸)現 金 60,000