後から給料天引き~立替金

【例10-5】
業員個人に係る保険料¥500を現金で立替払いした。  
        

【仕訳】

(借)(従業員)立替金 500 (貸)現 金 500

「立替金」見覚えありませんか?

「仕入諸掛・売上諸掛」の講で、相手先負担の送料などの一時立て替えのところで登場しました。ただし、従業員に対する立替金は、その他の立替金と区別するために「従業員立替金」勘定(資産)を使うこともあります。

預り金の場合、先に従業員本人から天引きの形で預かって、後から税務署や年金事務所へ支払いをするわけでしたが、「立替金」は、本人に代わって先払いしておいて、後で本人から徴収するものです。従業員本人に対する債権なので資産(借方)になります。

本人との精算を給料天引きで行う場合は・・・

【例10-6】
従業員に本月分の給料¥10,000を支払うにあたり、【例10-5】の立替金\500と所得税源泉徴収分\1,000を差し引き、残額を現金で支払った。 

【仕訳】

(借)給 料 10,000 (貸)(従業員)立替金  500

               (所得税)預り金 1,000

               現    金  8,500

ところで、社会保険料には健康保険料と厚生年金保険料のほかに、雇用保険料(失業手当など)も含まれます。

健康保険料と厚生年金保険料は先に従業員の給料から差し引いて預かっておいて、後で納付しますが、雇用保険料は通常、先払いで納付する保険料です。

【例10-7】
当期首に、今年度の雇用保険料¥18,000を現金で一括納付した。このうち、会社負担分が2/3、従業員負担分が1/3である。従業員負担分は、今後毎月給料日に月割額を給料から控除することとする。

仕訳の鉄則はわかりやすいところから。

会社の現金¥18,000が減るので、貸方現金18,000。

このうち2/3にあたる¥12,000の会社負担分は、健康保険料や厚生年金保険料のときと同じ「法定福利費」。

では、残り1/3の従業員負担分(¥6,000)は何になるでしょうか?

具体的には、預り金でしょうか?それとも立替金でしょうか?

立替金がベストです。

従業員負担分も合わせて先に会社が支払っておいて、後で給料から返してもらう債権(=資産)なので、預り金(負債)ではなく、立替金(従業員立替金)。

【仕訳】

(借)法定福利費 12,000 (貸)現 金 18,000

   従業員立替金  6,000

ちなみに給料が¥10,000だとしたら、給料日の仕訳は

【給料日の仕訳】

(借)給 料 10,000 (貸)従業員立替金   500

               現    金 9,500