簿記3級の仕訳問題でよく出題されるのが、この「内金・手付金」(前払金・前受金)です。
頻出のワリにはカンタンなので、ゼッタイ得点源にしましょう。
内金・手付金(前払金・前受金)
モノを売り買いするとき、売買契約自体は注文時(買う側)やその注文を受けた時(売る側)に成立しますが、簿記会計上は、注文を発したり注文を受けたりの時点では、取引(仕訳)は発生しません(実際におカネやモノが動いていないから)。
実際に商品を発送したり受け取った時点で、「売上」や「仕入」が立ちます。
ところで、信用力が弱かったり取引額が大きかったりすると、実際に商品の引き渡しは未だでも、「内金」や「手付金」といって、注文時に代金の一部を支払いを求められる場合があります。
身近な例では、旅行会社にツアーの申し込みの際、代金の10%とか1万円とか「申込金」として支払うことがあります。
そしてそれは、後で旅行代金(もしくはキャンセル料)の一部として充てられます。
そのようなイメージです。
しかし、実際のモノやサービスの提供は行われていませんから、「仕入」や「売上」を立てるわけにはいきません。
代金の「前払い」です。
支払う側からみれば、モノやサービス提供前に支払うので「前払金」といい、逆に売る側からみれば、同じく提供前に受け取るので「前受金」といいます。
●前払金は、後で商品代金の一部に充てられる(その分支払額を減額してもらう)権利なので債権(資産)。
●前受金は、商品の引き渡し前という売り主側の義務履行前に預かっているおカネなので債務(負債)になります。
【設例】
(1)A商店はB商店から商品¥100,000の注文を受け、内金¥10,000を現金で受け取った。
(2)A商店はB商店に商品¥100,000を引き渡し、代金のうち(1)の内金と相殺した残額を掛けとした。
(A商店・B商店それぞれの仕訳)
【仕訳】
(1)
(A商店)
(借)現 金 10,000
/(貸)前受金 10,000
(B商店)
(借)前払金 10,000
/(貸)現 金 10,000
(2)
(A商店)
(借)売掛金 90,000
(借)前受金 10,000
/(貸)売 上 100,000
(B商店)
(借)仕 入 100,000
/(貸)買掛金 90,000
/(貸)前払金 10,000
解ける!日商簿記3級 本試験レベル問題(内金・手付金)
【問題1】
商品¥50,000の注文を受け、手付金として現金¥10,000を受け取った。
【 THINKING SPACE 】
【解答】
(借)現 金 10,000
/(貸)前受金 10,000
・・・¥50,000はどこにも出てきませんね。
注文を受けたことそれ自体に関しては、簿記会計上の「取引」は発生しません(一般的な言葉づかいでは、注文受けるのは取引な気がしますが)。
【問題2】
¥丸豆商店に対して商品50,000を注文し、手付金10,000を現金で渡した。
【 THINKING SPACE 】
【解答】
(借)前払金 10,000
/(貸)現 金 10,000
【問題3】
得意先シゲル商店より注文のあった商品50,000(原価30,000)を発送し、代金のうち10,000は、同店より注文を受けた際に受け取っていた手付金と相殺し、残額は掛けとした。
【 THINKING SPACE 】
【解答】
(借)前受金 10,000
(借)売掛金 40,000
/(貸)売 上 50,000
【問題4】
高助商店から商品50,000を仕入れ、代金のうち10,000は同商店にあらかじめ支払っていた手付金を充当し、残額は掛けとした。
【 THINKING SPACE 】
【解答】
(借)仕 入 50,000
/(貸)前払金 10,000
/(貸)買掛金 40,000
・・・どうでしたか?
過去問演習が多かったですが、一つ一つは「軽い」ですよね。
■ビジュアル動画「内金・手付金」