勘定記入の基本
勘定記入・補助簿・伝票を短期間でニガテ科目から得意科目にしませんか?
日商簿記3級第2・4問集中対策講座とは?
以前にも申しましたが、簿記の学習をしていると、仕訳ばかりで勘定口座・勘定記入のことまであまり意識しないものです。
日商簿記3級検定では、その勘定口座への記入の仕方が、第2問や第4問でよく問われます。
勘定口座のつくりは、学習用の略式T字型でいえば、
<資産・費用科目の場合>
<負債・純資産・収益科目の場合>
となります。
なぜ、資産・費用グループと、負債・純資産・収益グループで左右が反対に分かれるかわかりますか?
増加すると借方が増えるのが前者、貸方が増えるのが後者だからですね。
ところで、勘定口座には増加の内訳として、当期の増加(受入)の他に、前期からの受入(前期繰越)がある場合があります。
また、減少の内訳として、当期の減少(払出)の他に、次期への払出(次期繰越)がある場合があります。
その場合は、
<資産科目の場合>
<負債・純資産科目の場合>
となります。
これって、預金通帳の「繰越・預入・払出・残高」と同じですね。(受払イメージ)
では、前期繰越や次期繰越がある場合とは、どんな場合でしょうか?
それは、決算時に残高がB/Sに記載される資産・負債・純資産についてです。
逆に、P/L科目である費用・収益や、「引出金」など、期中の間だけ仮に用いて決算時に整理(精算)される一時的な科目は、繰越がありません。
なぜ費用や収益科目に繰越がないか?
実はP/Lは、各費用や収益の残高を対比して記載されていますが、これはあくまで資産が増えた、減ったの原因・理由を後から並べているだけで、実体はあくまでB/S。
つまり、営業活動の結果資産が増えたのか減ったのか。負債が一定だとすれば、資産が増加すればその分純資産(出資者の持ち分)が増えたことになりますし、反対に資産が減少していれば、純資産も目減りしたことになります。
話はそれましたが、費用や収益は当期中に精算され、繰り越さないのです。
(ここでは詳しく触れませんが、費用・収益の諸勘定の残高は決算時に全て「損益」勘定に振り替えられ、その「損益」勘定の貸借差額が、資本金勘定に振り替えられるのです。「損益勘定の処理について」)
いずれにしても、仕訳ができれば、そのとおりの勘定科目の借方/貸方にしかるべき金額を記入する、ということで特別に難しいことはありません。
少し特殊なところがあるとすれば、繰越(前期繰越・次期繰越)についてです。
勘定記入問題の具体例(過去問レベル)
例えば、固定資産である備品について、次のような取引があった場合
(会計期間は4/1~3/31)
【設例】
X1.7.1 備品200,000を小切手を振り出して購入した。
X2.6.1 備品100,000を翌月払いの約束で購入した。
(会計期間は4/1~3/31、第131回類題)
この場合、備品勘定は次のようになります。
勘定口座に書いてあることを、順を追って説明します。
(1)X1.7.1(借方)
備品¥200,000が入ってきたので借方に記入。
相手科目は小切手=当座預金。
(2)X2.3.31(貸方)
決算日につき、次期に繰り越し
(次期に「払い出す」ので貸方)
→この残高がB/Sに載る!
二重線は、「締切線」
:決算により締め切った、当期はここまで!という意味。
(3)X2.4.1(借方)
期首につき、前期からの繰り越し
(前期から「受け入れ」で借方)
(4)X2.6.1(借方)
期中で、さらに備品¥100,000受入。
今回の相手科目は未払金。
(5)X3.3.31(貸方)
決算日につき、次期に繰り越し
(前期からの繰越分¥200,000と、当期購入分¥100,000の合計¥300,000分を次期繰越)。
余白には斜線をひいておく。
一重線は、「合計線」:複数の取引の合計。
よって、合計線の下の、当期の借方合計、貸方合計は必ず金額が一致する。
(6)X3.4.1(借方)
期首につき、前期からの繰り越し
(前期から「受け入れ」で借方)
・・・と続いていきます。
長くなりましたので、過去問演習は次回のお楽しみ。
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