社会保険料とは

前講では、従業員の給料から、所得税を源泉徴収(天引き)する場合の会計処理・仕訳を学習しました。

従業員の給料から天引きされるのは、源泉所得税だけではありません。大きいものとして、社会保険料の天引きを学習します。

社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などから構成されており、それぞれの保険料について、会社が負担する分と従業員が負担する分があります。

社会保険料天引きの仕訳

【例10-2’】
従業員に本月分の給料¥10,000を支払うにあたり、所得税¥1,000と社会保険料¥2,000を差し引き、残額を現金で支払った。

【仕訳】

(借)給 料 10,000 (貸)(所 得 税)預 り 金  1,000

               (社会保険料)預り金 2,000

                現      金 7,000

従業員の給料から社会保険料を天引きする場合も、源泉所得税の場合と同じ「預り金」(負債)を使います。本人に代わって会社が年金事務所に支払うときまで預かっておく、という扱いになります。後で支払う義務になるので負債(貸方)です。同じ「預り金」勘定でまとめる場合もあれば、本問の解答のように、所得税の預り金は「所得税預り金」勘定、社会保険料の預り金は「社会保険料預り金」勘定と使い分ける場合もあります。問題文の指示や与えられた選択肢に従ってください。

【例10-3】再掲
給料から差し引いておいた従業員の所得税¥1,000を税務署に現金で納付した。

【仕訳】前講の復習

(借)(所得税)預り金 1,000 (貸)現 金 1,000

社会保険料納付の仕訳~法定福利費

【例10-4】
【例10-2’】で給料から差し引いておいた従業員の健康保険料と厚生年金保険料合計¥2,000について、会社負担分¥2,000と合わせて¥4,000が当座預金口座から引き落とされた。

【仕訳】

(借)(社会保険料)預り金 2,000 (貸)当座預金 4,000

   法 定 福 利 費 2,000

社会保険料のうち、健康保険料と厚生年金保険料の負担は、会社と従業員とで折半し、会社負担分は法定福利費(費用)、従業員負担分は社会保険料預り金(負債)とします

解ける!日商簿記3級本試験レベル問題演習

(1)今月分の従業員に対する給料¥100,000を、所得税の源泉徴収分¥5,000及び健康保険、厚生年金の社会保険料合計¥15,000を控除し、当社の普通預金口座から振り込んで支給した。
(2)(1)で控除した所得税の源泉徴収分¥5,000を現金で納付し、社会保険料は会社負担分と従業員負担分を合わせた¥30,000が当社普通預金口座から引き落とされた。

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