紙の手形の場合の仕訳(復習)
【例6-2】 (1)商品¥2,000を仕入れ、代金は掛けとした。 (2)(1)で仕入れた商品を¥3,000で販売し、代金は掛けとした。 |
【仕訳】
(1)(借)仕 入 2,000 (貸)買掛金 2,000
(2)(借)売掛金 3,000 (貸)売 上 3,000
【例6-3】 (1)買掛金¥2,000の支払いのために同額の約束手形を振り出した。 (2)売掛金¥3,000の回収として同額の約束手形を受け取った。 |
【仕訳】
(1)(借)買 掛 金 2,000 (貸)支払手形 2,000
(2)(借)受取手形 3,000 (貸)売 掛 金 3,000
ここまでは、掛代金を(紙の)約束手形で回収・支払する場合の仕訳の例(復習)でした。
紙の手形を電子データ化すると・・・
紙の手形の代わりに、手形の記載内容を電子データ化したものがあります。
電子記録債権・電子記録債務といいます。
紙よりも電子化した電子記録債権・電子記録債務の方が、紛失のリスクなど管理コストの低減や、債権・債務の分割が可能などのメリットがあるといわれています。
【例6-3‘】・・・【例6-3】に替えて (1)買掛金¥2,000の支払いのために、取引銀行を通じ、債務の発生記録の請求を行った。 (2)売掛金¥3,000の回収として、取引銀行を通じ、債権の発生記録の請求を行い、得意先の承諾を得て、電子記録に係る債権が生じた。 |
【仕訳】
(1)(借)買 掛 金 2,000 (貸)電子記録債務 2,000
(2)(借)電子記録債権 3,000 (貸)売 掛 金 3,000
紙の手形から、それを電子化することによって、
「支払手形」→「電子記録債務」
「受取手形」→「電子記録債権」
と科目名がチェンジします。
「発生記録」って?~「でんさい」のしくみ
問題文にある「発生記録の請求」について説明を加えます。
紙の手形であれば振出人が名宛人に引き渡せば、債権・債務が発生します。
これに対し、引き渡すべき「紙」が無い電子債権・電子債務(でんさい)の場合は、「電子債権記録機関」という機関のコンピューターに、債権・債務を記録します。債権者または債務者が、相手側の了解をとったうえで、電子債権記録機関に対し(取引銀行を通じ)、債権・債務の発生を記録してもらうよう請求して、電子記録債権・債務が発生します。
解ける!日商簿記3級過去問ベル問題演習
当社は、かねてA社に対して発生していた売掛金¥10,000について、A社が電子記録債務を用いることとし、取引銀行を通じて債務の発生記録を行った旨の通知を受けた。 |