貸付金・借入金

【例】
7月2日に埼玉銀行から100万円を現金で借り入れた。

覚えていますか?
本シリーズの冒頭、複式簿記「超」入門編や、複式簿記の基本概念のところで「なぜ借入金なのに貸方なのか」と何度か登場した設例ですね。

【仕訳】
(借)現 金 1,000,000
/(貸)借入金 1,000,000

でしたね。

ところで、なんで借入金なのに貸方なんでしたっけ?

現金が借りもので、貸している方が銀行、あえて言えば「借用書を貸している」というイメージでしたね。

貸付金はこれと反対で、借方でした。
なぜか?説明できますか?

貸付金・借入金と利息の計算

【例9-1】A社とB社それぞれの仕訳
(1)A社はB社から事業資金¥10,000を年利率3%、借入期間6か月の条件で借入れ、B社の当座預金口座からA社の当座預金口座に入金された。

(2)(1)の返済期日が到来し、元本と利息合わせてA社の当座預金からB社の当座預金口座に振り込まれた。

【仕訳】

(1)

A社:(借)当座預金 10,000 (貸)借 入 金 10,000

B社:(借)貸 付 金 10,000 (貸)当座預金 10,000

(2)

A社:(借)借 入 金 10,000 (貸)当座預金 10,150

      支払利息   150

B社:(借)当座預金 10,150 (貸)貸 付 金 10,000

                  受取利息   150

(1)A社の当座預金(資産)が¥10,000増えます(借方)が、それは後で返さなくてはいけない借入金(負債)です。B社から見れば、当座預金(資産)が¥10,000減ります(貸方)が、代わりに、返済期日に返してもらえる権利である貸付金(資産)が借方に発生します。

(2)利息と合わせて借金を返したので、A社の当座預金が、元利合わせて¥10,150減ります。そのうち¥10,000は元本返済(負債の消滅で借方)、¥150(*)は支払利息(費用)です。B社から見れば、当座預金が元利合わせて¥10,150増えます。そのうち¥10,000は元本回収(債権の消滅で貸方)、¥150は受取利息(収益)です。

(*)利息計算:元本10,000×年利率3%×6か月/12か月=150

役員と会社との貸し借りは

【例9-2】
当社の取締役A氏に対し資金を貸し付けるために、当社の普通預金口座から¥500,000をA氏の個人口座に振り込んだ。これに伴い、振込手数料¥300も当社の普通預金口座から引き落とされた。

同じ貸付金でも、社内の役員(代表取締役社長や取締役など)に貸し付ける場合は、「役員貸付金」という別の科目名を使って、社会に対する貸付金と分けて管理します。

【仕訳】

(借)役員貸付金 500,000 (貸)普通預金 500,300

   支払手数料   300

ちなみに、会社の事業資金を、役員から借り入れた場合は「役員借入金」という勘定科目を使います。

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