三分法と売上原価・売上総利益

商品売買を仕入勘定と売上勘定で仕訳する3分法では、期中の取引時には売値と原価との差額である商品売買益を算出しないわけでしたが、決算時にはまとめてこの商品売買益にあたる「売上総利益」を計算します。

といっても、単純に売上勘定の合計から仕入勘定の合計を引くだけではダメでした。売れ残りである在庫分をプラスマイナスした「売上原価」と売上をぶつける必要がありました。

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売上総利益=売上高ー売上原価

では、その売上原価はどうやって計算するのか?

売上原価=(当期)仕入高+(期首)繰越商品ー(期末)繰越商品

でした。銀行の預金通帳(繰越+預入ー引出=残高)でしたね。

ボックス図にすると、

仕入勘定と売上原価

仕入勘定は費用の科目ですから、当期の仕入高は借方にあります。そこへ、決算時に期首繰越商品をプラスするので借方(費用を増やす)、期末繰越商品はマイナスするので貸方(費用を減らす)に仕訳すると、貸借差額(この場合借方合計ー貸方合計)が売上原価つまり、売れた商品分だけの原価という意味になります。

この売上原価の計算を精算表上で行うことが、決算整理の問題となります。

仕入勘定で売上原価を計算する決算整理仕訳

前ページのボックス図のように、仕入勘定に繰越商品(期首)を足して、期末繰越商品を引くと、仕入勘定の残高が売上原価になります。仕訳を示すと、

【仕入勘定で売上原価を計算する決算整理仕訳】

(借)仕  入 XXX (貸)繰越商品 XXX ・・・期首繰越商品を仕入にプラスする仕訳

(借)繰越商品 XXX (貸)仕  入 XXX ・・・期末繰越商品を仕入からマイナスする仕訳

「どっちが仕入でどっちが繰越商品だっけ?」と紛らわしくなるようでしたら、「しーくり、くりしー」(仕訳1行目の仕/繰、2行目の繰/仕)と覚えてしまってください。

上記の仕訳について「仕入勘定で売上原価を計算する」とあります。これは、期中の仕入勘定の残高は当期の仕入高を意味するのに対し、上記の決算整理仕訳(しーくりくりしー)を施した後の仕入勘定の残高は、売上原価になっている、ということです。

仕入の行で計算する売上原価の精算表記入

【問題23-1】決算整理仕訳と精算表記入
・期末の商品棚卸高は¥4,000であった。
・売上原価は「仕入」の行で計算する。

「売上原価は「仕入」の行で計算する」というのは、精算表上の仕入の行、つまり仕入勘定を売上原価にする決算整理をするという意味です。

【決算整理仕訳】

(借)仕  入 2,000 (貸)繰越商品 2,000 「しーくり」=期首繰越商品を仕入にプラス

(借)繰越商品 4,000 (貸)仕  入 4,000  「くりしー」=期末繰越商品を仕入からマイナス

この決算整理仕訳を、精算表の修正記入欄に書き込みます。

繰越商品勘定は資産なので、決算整理前残高(借方2,000)に対し、修正記入の仕訳の借方4,000はプラス、貸方2,000はマイナスし、その結果4,000を、損益計算書欄ではなく、貸借対照表欄の借方に転記します。

同様に、仕入勘定は費用なので、決算整理前残高(借方20,000)に対し、修正記入の仕訳の借方2,000はプラス、貸方4,000はマイナスし、その結果18,000を、貸借対照表欄ではなく、損益計算書欄の借方に転記します。

したがって、精算表の記入は次のとおりとなります。

仕入勘定で売上原価を計算する場合、決算整理後の仕入勘定残高は、売上原価を意味することとなります。

では、売上原価を仕入勘定で計算しない場合は?

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