流動資産と固定資産
いよいよ固定資産そして減価償却のお話です。
その前に「資産」の区別についてです。「資産」は大きく2つに分けて、
- 流動資産
- 固定資産
があります。
3級では、「流動」と「固定」の言葉の違いのイメージだけ持っていれば大丈夫です。
つまり、
流動的なもの・・・現金や商品、売掛金や受取手形、有価証券など
固定的なもの・・・土地、建物、車両、備品など
何が流動的で何が固定的かは、こだわると細かくいろいろ基準がありますが、それは日商簿記2級の学習範囲。
ここでは気にしません。
ところで、固定資産は「超」入門編で、「50万円の備品」というカタチで登場してました。覚えてますか?
【例1】
50万円の備品を購入して代金を現金で支払った。
【仕訳】
(借)備 品 500,000
/(貸)現 金 500,000
こうして購入した備品。”固定”資産ではありますが、いずれ古くなったり壊れたりで使えなくなります。
では、壊れて使えなくなったら・・・
【例2】
【例1】の備品が老朽化により使えなくなった。
使えなくなってしまったら、もう備品という資産の価値はなくなります。
500,000の価値の備品という資産が失われ(貸方)、代わりに何も得られないので、借方は損失になります。
【仕訳】
(借)固定資産除却損 500,000
/(貸)備 品 500,000
ここで、備品としては使い物にならなくなっても、価値がゼロになってしまうのでなく、鉄くずなど、いくらかの価値が残ることがあります。
これを「残存価額」といいます。
学習上、簿記の問題や検定試験では、残存価額は取得原価の10%とされることが多いです。
固定資産と減価償却
ところで、備品として使えなくなる、その直前まで、買った時と同じ¥500,000の価値が本当にあったのでしょうか?
通常は、年々少しずつ古くなり、経年劣化していって、最終的に備品として使えなくなる、というライフサイクルをたどるのではないでしょうか。
というわけで、複式簿記では、この”経年劣化”を会計処理に反映させます。
仮に、10年間使用でき、残存価額が取得原価の10%だとすると、その10年の耐用年数の間に少しずつ価値が減少するとして、
購入時 500,000
1年後 -45,000
=455,000
2年後 -45,000
=410,000
3年後 -45,000
=365,000
・・・
9年後 -45,000
= 95,000
10年後 -45,000
= 50,000
=残存価額
となります。
このように、毎年均等に同額ずつ価値が減るという計算方法を「定額法」といいます。
(ちなみに、毎年均等に同じ”割合”で価値が減る計算を「定率法」といいます。「定率法」は日商簿記2級の出題範囲です。)
では、なぜ、上記の例では毎年¥45,000ずつの価値の減少となるのか?
もうお分かりかもしれませんが、備品の購入価額500,000から残存価額50,000(10%)を引いた450,000分を10年かけて毎年均等額ずつ減少させるので、¥450,000÷10年=¥45,000/年ですね。
減価償却の仕訳
これを、複式簿記の会計処理(仕訳)で表してみると、
<購入時>
(借)備 品 500,000
/(貸)現 金 500,000
<1年後>
(借) ??? 45,000
/(貸)備 品 45,000
<2年後>
(借) ??? 45,000
/(貸)備 品 45,000
・・・・・
というように、購入時に借方に500,000の価値で入ってきた備品という資産について、1年後、2年後と、毎年45,000ずつ貸方で、備品の価値を減らしていきます。
すると、借方は?
備品という資産の価値が失われるのに、見返りに何の資産も借方に入ってこないので、費用です。
固定資産の”価”値を貸方で”減”少させ、それを借方で”償”う費用なので、「減価償却費」といいます。
「減価」であって「原価」ではありません。
世にいう「減価償却」とは、こういうことです。
少し長くなりましたので、続きは次回。
過去問演習も次回をお楽しみに。