現金出納帳のフォーマット

現金過不足の講でご紹介しましたように、現金は帳簿上の残高と実際有高が一致しているかどうか、特別な管理が必要になります。

そこで、仕訳帳や総勘定元帳の現金勘定だけでなく、現金の出入りについて、その理由とあわせて管理する補助簿が現金出納帳です。

現金出納帳のフォーマット(見本)は次のとおり。

既習の売掛金・買掛金元帳や商品有高帳よりシンプルです。基本的に「収入ー支出=残高」という銀行通帳と同じつくりです。単式簿記的カンタンさなので、ズバリ記帳の仕方を検定試験で問われることはあまりありません。

むしろ、現金出納帳の記載内容から、仕訳に変換できるかという観点で出題されることがあります。

上記の見本の現金出納帳について、7/2、7/8、7/16にそれぞれどんな取引があって、仕訳を起こすとどうなるか、わかりますか?

現金出納帳の読み取り方

まず上記のサンプルフォーマットの現金出納帳一番上から読み取っていきます。

「7/1 前月繰越」・・・前月末残高¥2,000が当月に繰り越され、7月は¥2,000ありきでスタートします。「前月からもらった」と考えて、収入欄に記載します。

「7/2 ○○へ商品売上」・・・収入欄に1,500とあるので、商品売上により現金収入¥1,500と読み取れます。

【仕訳】7/2(借)現 金 1,500 (貸)売 上 1,500

「7/8 XX銀行普通預金預入」・・・支出欄に1,000とあるので、手元の現金¥1,000を普通預金口座に預け入れたと読み取れます。

【仕訳】7/8(借)普通預金XX銀行 1,000 (貸)現 金 1,000

「7/16 営業費現金支払」・・・支出欄に500とあるので、手元の現金¥500で営業費(費用)を支払ったことが読み取れます。

【仕訳】7/16(借)営業費 500 (貸)現 金 500

「7/31 次月繰越」・・・直前(7/16)の残高2,000を、次月(8月)に繰り越します。実際にどこかへ支払ったわけではないのですが、「次月にプレゼントする」という意味で支出欄に記載します。

そして、次月繰越の行の下は点線ではなく、実線(一重線)が引かれています。これは「合計線」といって、その線より上にある金額をすべて合計したものが、合計線の下にある金額だということを意味します。どちらも3,500ですね。「前月繰越+当月収入=当月支出+次月繰越(残高)」というわけで、銀行の預金通帳と同じつくりです。

その収入合計、支出合計(=3,500)の下には、二重線が引かれています。これを「締切線」といいます。締切線は、「ここまでで今月はおしまい、この締切線より下は次月の内容だよ」ということを意味します。

そして、締切線の直下に、もう次月のスタートとして、「前月繰越」つまり7月から繰り越された¥2,000が収入欄に書かれています。

現金出納帳は、現金の範囲で学習した通貨代用証券など、現金の論点が問われることがあります。

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