大きな数の暗算の極意

本メルマガ「スキマ簿記」は、電車内などのスキマ時間で簿記の学習ができることをうたっており、紙とエンピツと電卓なしで、暗算で計算可能とアピールしています。

しかし、実際の例題では、10円の手形や100円の資本金ではなく、100,000や20,000,000と、大きな数を使っています。

「電卓なしでなんて、暗算できないよ」

と思われるかもしれません。

ではなぜ、10円や100円といった、小学生でもわかる数字にしないのか?

現行の会社法では資本金1円会社も可能であるとはいえ、
・やはり資本金100円とか、10円の手形は、現実的でない
・実際の試験では20,000,000くらいの大きな数字で出題される
というわけで、
「この程度の数字には日頃から慣れておきたい」
という意図で、あえて大きな数字を用いています。

それでも、コツをつかんで慣れれば暗算できるはずです。
例えば、メルマガ本編で最初のころに学習した、商品売買(仕入・売上)のところで次のような例を挙げました。

【例】
(1)7月22日、
商品A(単価 50円)を1,000個、
商品B(単価100円)を1,500個
それぞれ仕入れ、代金は現金で支払った。
(2)7月23日、
商品Aを1個 80円で500個、
商品Bを1個120円で1,000個
それぞれ売上げ、代金は現金で受け取った。(注:以上は暗算で計算しなくていいです。)

ここでは「計算(暗算)しなくていいです」と言っていますが、暗算できます。

暗算の極意その1 カンマを利用

よく言われる数字のテクニックですが、カンマ「,」が一つなら千、二つなら百万、を覚えてしまうことです。これは、簿記を学習するしない以前に、何らかの事務仕事をするなら必須といえます。

「暗記に頼らない」がこの「スキマ簿記」のモットーですが、これは覚えましょう。

いつまでも指さしながら「イチ、ジュウ、ヒャク、セン、マン・・・」なんてやっていたら、時間のロスですし、むしろ間違えやすいと思います。簿記検定3級試験の世界であれば、カンマは二つまで、つまり、千と百万の二つだけです

このカンマ区切りをマスターすれば、100,000も100円と同じ、10,000,000円も10円と同じです。

さて、例題に戻りますと、7月22日の商品Aの仕入れは50円×1,000個です。
50千円です。50,000円です。
「×1,000」のときは、「50」のあとに「,000」をつければ終わりです。
ちなみに、「50千円」を違和感なく「5万円」と読めるようになるのは、慣れです。

同様に、7月23日の商品Bの売上げも、120円×1,000個なので、「120」+「,000」で120千円です。
これも、「ひゃくにじゅう」ですが、すんなりと「じゅうにまん」と読めるように慣れたいものです。

暗算の極意その2 並べ替え・加工

極意その2は、かける数とかけられる数を、計算しやすいように並べ替えたり、加工することです。例えば、7月22日商品Bの仕入のように、「100円のものが1,500個で、えーと・・・?」とパッと暗算できませんが、順番をひっくりかえして、「1,500の10倍が15,000、100倍なら150,000」と考えれば、暗算できます。

同様に、7月23日の商品Aの売上げ80円×500個についても、「ハチゴ=シジュウ」はすぐ分かるとして、あとゼロを何個つけるんだっけ?となります。
適当にゼロをつけると、間違えるリスクが上がります。

そこでこう考えます。

500円玉が8個あったら、4,000円。ならば80個で40,000円

これなら、ゼロの数も間違えません。
掛ける数と掛けられる数を、考えやすいように入れ替えてみました。

あるいは、「80円が1,000個で80,000円。500ならその半分なので40,000円」という計算方法も早い暗算方法ですね。

このように、速く、間違えずに暗算できる方法で、自分に合った計算方法を見つけて、慣れることが、暗算を得意にする極意です。

「スキマ簿記」で、比較的大きな数字の暗算についても、回数をこなして、自分なりの方法を見つけて、慣れてみてください。

試験本番は電卓で計算するので、ある程度電卓の使い方にも慣れておく必要はあります。
自宅で学習するときは、電卓を使いましょう。

けれども、移動中や昼休みなど、電卓のない環境で学習されるときは、「脳トレ」と思って、暗算でやってみましょう。