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引出金は勘定記入まで理解しよう引出金

毎回資本金を変動させずに「引出金」にストック


「開業・資本金」の講で、事業主(店主)が出資した資本金を、事業主の私用に使った場合(個人に係る税や保険料の支払いなど)の取扱いを覚えていますか?

「開業・資本金」の講を復習する

■例1■
7月2日、店の現金から、事業主の生命保険料として¥20,000を流用した。

<仕訳>
(借)資本金 20,000 (貸)現 金 20,000

「開業・資本金」の回で出題した例題です。

貸方で、資産の現金が減少し、借方は?

「支払保険料」ではなく、貸方科目の資本金を直接、借方で減少させています。
これは、お店の事業に係る経費ではなく、事業主個人に係るもので、「店の現金」でなく、事業主の個人のおサイフから出すべきものです。

それを「店の現金から使った」、ということは、事業のために出資した資本金のうち、2万円を、個人のおサイフに戻したことと同じです。

というわけで、この場合、資本金の減少でした。

以上がおさらいですが、こうした事業主の私的流用を頻繁に行うような場合(本当はあまりよくないこと?)、いちいちその都度資本金を変動させるのではなく、一旦「引出金」という名前の勘定にストックしておいて、期末の決算の時に、引出金としてカウントされた私的流用額の合計をまとめて資本金勘定から減らす、というやり方があります。

つまり、(例1)で言えば、借方で資本金を直接減少させる代わりに、「引出金」という科目に置き換えて

<仕訳>
(借)引出金 20,000 (貸)現 金 20,000

となります。

■例2■
9月5日、店の現金から、事業主の所得税¥100,000を郵便局で納付した。
・・・資本金勘定ではなく、引出金勘定を用いて。

<仕訳>
(借)引出金 100,000 (貸)現 金 100,000

■例3■
12月31日、本日決算日につき、引出金勘定について必要な決算整理をする。
ただし、当期は引出金勘定は(例1)(例2)の取引のみであった。

<仕訳>
(借)資本金 120,000 (貸)引出金 120,000

(例1)(例2)で合計\120,000流用したので、引出金勘定にストックされていた\120,000をまとめて資本金から減少させ、引出金勘定は精算(相殺でゼロに)します。

これって、前回の小口現金の考え方と似ていると思いません?
日々のこまごました現金経費は「小口現金」勘定にストックしておいて、後で現金勘定と精算する。引出金も、考え方は基本的に同じですね。


ところで、引出金に関しては、簿記3級検定では第1問の仕訳問題だけでなく、第2問や第4問の勘定記入問題でも出題されます。

最後に、(例1)~(例3)について、仕訳の先の勘定記入について考えましょう。

解ける!簿記 3級 本試験レベル問題
(例1)から(例3)までの取引について、
(1)引出金勘定を用いず全て資本金勘定で処理する場合
(2)引出金勘定を用いる場合
それぞれに関する以下の勘定の空欄に適切な[日付]「語句」(金額)を埋めなさい。

(1)全て資本金勘定で処理する場合

資 本 金    
[ a ] 「  b  」( c )
[ d ] 「  e  」( f  )

12/31「 g 」( h )
       1,200,000

             
1 / 1 前期繰越 1,000,000
12/31 損 益   200,000
    /        
.
        1,200,000
1 / 1「 i 」 ( j )

< THINKING SPACE >










<解答>
a=7/2
b=現金
c=20,000
d=9/5
e=現金
f=100,000
g=次期繰越
h=1,080,000
i=前期繰越
j=1,080,000

<解説>
仕訳は楽勝でも、こんな空欄だらけの勘定が出されると、思考が止まってしまいますね。
ここは落ち着いて、資本金勘定について思い出して・・・
純資産なので、資産とは逆で、増加が貸方、減少が借方。だから、「前期繰越」が貸方のトップ(1月1日)にありますね。
すると、借方は資本金の減少について。ここで(例1)(例2)の仕訳を思い出して、資本金から保険料と税金を使った(減少した)ので、a~fは(例1)と(例2)の仕訳の内容を転記すればいいですね。ちなみに、「b」と「e」の科目名は、仕訳の相手科目なので、どちらも「現金」ですね。

次にgとhですが、12月31日なので、期末決算に関する内容ですね。貸方のトップ「前期繰越」とは逆に、借方の最後は「次期繰越」です。

最後にiとjです。締切線(合計額の下。本当は二重線)の次の項目なので、次の期の期首です。よって、再び「前期繰越」で、金額は、hと同じです。

(2)引出金勘定を用いる場合

資 本 金    
[ a ] 「  b  」( c )
12/31次期繰越 1,080,000
       1,200,000

             
1 / 1 前期繰越 1,000,000
12/31 損 益   200,000
         1,200,000
1 / 1前期繰越  1,080,000

引 出 金    
[ d ] 「  e  」( f )
[ g ] 「  h  」( i  )

        ( j )

             
12/31 「 k 」( L )
    /        
.
        ( j )


<THINKING SPACE>










<解答>
a=12/31
b=引出金
c=120,000
d=7/2
e=現金
f=20,000
g=9/5
h=現金
i=100,000
j=120,000
k=資本金
L=120,000

<解説>
まず、順番に資本金勘定から。
(1)の資本金勘定とよーく見比べてください。
「前期繰越」「損益」「次期繰越」は一緒ですね。というわけで、7/2と9/5の現金120,000に関する内容が、[a]「b」(c)です。つまり、私的流用で資本金を減らす個々の取引についてであり、引出金勘定を用いる場合は、まとめて「引出金」というカタチで精算します。

次にその引出金勘定の中身について。
借方に2つの取引があったことがわかります。引出金が借方にくるのは?ここが7/21と9/5の保険料と税金支払いのことです。そしてそれを、貸方で12/31の決算に精算、つまり資本金に振り替えています。

ここで、資本金勘定と引出金勘定を再び見比べてください。何か気づきませんか?
引出金勘定には、前期繰越や次期繰越がありません。
引出金は期末の決算で必ず資本金に振り替えて精算する(ゼロにする)ので、繰り越しはありえないのです。

こういったところも、仕訳問題だけでは身につかない、勘定特有の論点なので、本設問の空欄を埋めるだけでなく、勘定のつくり、しくみをじっくり眺めて、身につけてください

そして、検定試験の第2問や第4問対策で、勘定記入の問題につまづいたら、本設問に戻ってきてください。

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